瀧本ゼミLGBTプロジェクトについて専門家の先生からコメントをいただきました⓵(志村哲祥先生 医師・医学博士・精神保健指定医)

志村哲祥 医師・医学博士・精神保健指定医

 

誰を好きになるのか。誰と結婚するのか。自分がどのような振る舞いをし、どのような格好をするのか。
それが世間によって強制され、そこから外れたら様々な非難やいじめを受ける社会。これはディストピアではないでしょうか。

性的マイノリティにとっての現代日本社会は、まさにその状況にあります。
既存のメタアナリシス(J adolescent health, 2011)は、性的マイノリティ(いわゆるLGBT)は高いうつのリスクと、そして約3倍にのぼる自殺率を明らかにした上で、過去に受けた被害的経験が媒介要因となっている可能性を示しています。
性的マイノリティであることが精神的ハイリスクなのではありません。他者から受ける偏見や、それに基づく加害(しばしば悪意のない加害)、迫害された体験が、うつ、そして自殺をもたらします。

実際の診察現場でも、それは明らかです。常に何かに怯えてしまう自分が、常に後ろめたい気持ちになってしまう自分がいる。したくない格好をしているのは苦痛で仕方がない。でもそうしないとまた何を言われるかわからない。そのような悩みは後を絶ちません。これは、薬やカウンセリングで治せる落ち込みなのでしょうか。本当は、対処すべきなのは、本人ではなく、社会の側なのでしょう。

法令には強い規範形成効果、世論形成効果があります。誰を好きになるのか、誰と結婚するのか、自らがどのような者でありたいのか、それらは否定されるものでも強制されるものではない。そのような文化を作っていける効果があります。
それこそが、「社会」によって作られてしまう病気と悲劇を、これ以上生み出さないための方策となるものと思われます。

(編集者注)既存のメタアナリシスはこちらよりご覧いただけます。

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瀧本ゼミは、ビジネスと政治という2つの領域へのリサーチを通して、非情で過酷な現代社会を生き抜くための意思決定の方法を学ぶゼミです。現状を分析し、自分なりの仮説に基づいて計画を立て、その計画を実行し、その結果を受けて仮説と計画を修正し、再び実行する。このサイクルは、私たちがこれから現代社会を生き抜いていくために、あらゆる場面で必要とされます。ビジネスと政治という答えのない領域を前にして、各人なりの問題への取り組み方、不定形に動き続ける現実へのアプローチの方法を確立するべく活動しています。議論が好きな方、知的好奇心溢れる方、成長したい方にオススメの自主ゼミです。