都内有名進学校から流されるまま東大文一に進学した彼が下した「決断」とは

今回は、瀧本ゼミ7.0期、東京大学1年の小倉さん(仮名)にインタビューです!2018年の夏、ニュース等でも大きく話題になった医学部入試における不正問題。瀧本ゼミでもこの問題に対して二回レポートを出していますがその二回目を担当なさったのが小倉さんでした。都内有名進学校から東大文一に進んだ小倉さんですが、進学先は当初考えていた法学部ではなく経済学部を考えているようです。彼はなぜ自らの進路を変えることにしたのか、その意思決定の理由に迫っていきたいと思います。

ゼミのレポートをもとにした記事がヤフーニュースにも掲載されました[1]

都内有名進学校への入学。当時の夢は外交官。

ゼミ生:こんばんは、今日はインタビューよろしくお願いします。まずは小倉さんのこれまでのお話をお聞きしたいです。都内有名進学校に通ってらっしゃったということでしたが、この学校にいきたい!!というモチベーションなどはあったりしたのですか?

小倉:よろしくおねがいします。そうですね、小学校の時に杉原千畝の伝記を読み、感動をうけたのが動機といえば動機ですかね。外交官になりたくて、外交官は官僚、官僚なるなら東大、東大行くならいい中学校ということで目指していました。まあ、親が有名中に行かせたくて色々連れていかれていたということが実は一番な気がしますが笑

ゼミ生:なるほど、小学校の時点でそこまで将来の進路が決まっていたのですね。その後特に進路に関して心変わり等はなかったのですか?

小倉:そうですね、外交官にこだわることはなくなりましたが、政策によって世界を変えてみたい、そのために官僚になろうという意思は変わっておらず、そのために東大に行きたいという気持ちも変わりませんでした。周りも東大に行くと決めている人が多く、漠然と自分も東大に行くものだと思っていました。

ゼミ生:東大に行くという進路に特に違和感を覚えない環境だったのですね。

小倉:まあ結局浪人することにはなってしまったのですが…

ゼミ生:あ、そうなんですね笑 浪人の際も東大という進路は変わらなかったのですか?

小倉:そうですね、親が東大を強く推していたことや、周りの友達が皆浪人してでも東大に行く環境だったということもあり、特に考えることもなく浪人して東大に進むことを決めました。

入ゼミ。発表。「何をやったのだろうか?」

ゼミ生:そのまま無事に東大に入られたわけですが、瀧本ゼミを選んだきっかけは何かあったのですか?

小倉:大学受験の勉強をしている際に「与えられた課題にただ答えるだけの勉強はもうしたくない」と思いました。なので大学ではもっと実践的な勉強がしたい、そのために何か自主ゼミには入ろうと思っていて、いくつか見て回っていました。その中で瀧本ゼミと出会って…といった感じです。

ゼミ生:なるほど、これまでどのような活動をしてきたのですか?

小倉:これまで二回ゼミで政策案を発表したのに加えて、ゼミで以前から着目していた医学部入試における女性差別問題について分析記事を執筆しました。一回目の発表は海外事例を参考にしながらいじめ禁止法案を検討したのですが、論文の中身もあまり理解できておらず効果的な政策案に落とし込むことはできませんでした。
医学部入試の記事を書いている時も何回も詳細なフィードバックを受けながら上手く反映させることができず、最終的に自分が書いたところよりも修正を受けたところの方が多くなってしまい「自分は一体何をやったのだろうか?」と不思議な気分にすらなりました…。

ゼミ生:今でこそ教室内換気の重要性に注目した政策を立案するなど活躍していらっしゃる小倉先輩にもそんな過去があったなんて驚きです。瀧本ゼミをやっていて、これは力がついたと思うことは何かありますか?

小倉:そうですね、瀧本ゼミでは自身の発表の際に内容に関する質問が数多く飛んでくるのですが、批判的思考力が身についたと思います。実際、東大1年生のALESA(東大の英語の授業、自分で英語の小論文を書きプレゼンをするもの)では、他の方の発表に質問をする時間があったのですが、今まではなかなか思い浮かばなかったのですが、流れるようにクリティカルな質問が沢山できたと思います!

ゼミ生:実際みていないので分かりませんが、本人がそう仰るなら信じましょう(笑) ただ、最近は小倉さんはゼミでの発表への議論の応酬にも鋭く切り返し、ゼミにも貢献されていると思います!

文一から経済学部に。既定路線を歩いた彼の転機の理由は!?

ゼミ生:さて、小倉さんは現在文一から経済学部への進学を考えているとのことですが、あれほど長い間歩いてきた道を外れた何かきっかけなどはあったのですか?

小倉:官僚という目標はあくまで小学生の時に決めたことで、それからはあまり他の選択肢を検討することなく、官僚になるためには東大法学部に行くべきだと思い込み進んできてしまいました。
しかし、実際にゼミに入って政策立案を行っていくにつれ、政策を作るのは官僚に限らず、アカデミアや企業でも可能だと理解できたのと、実際の政策は非合理的なものが少なくなく、もっと合理的で効果的な政策(EBPM、Evidence Based Policy Making, 科学的根拠に基づいた政策立案)を作りたいと考えるようになりました。

ゼミ生:たしかに、小倉さんの換気イシューでも国の二酸化炭素の濃度基準は「その濃度でしか維持できない」といった消極的理由だったように記憶しています。

小倉:はい、そうです。あと、厳密な政策評価も必要だなと。そういうのは経済学のスキルセットで、そのスキルを手に入れるために経済学部進学及び、まずは修士号が必要だなということに気づきました。

ゼミ生:なるほど、本来やりたかった「政策で世界を変えていきたい」ということをするには文Ⅰから官僚というルートに限ったものではないという事ですね。確かに瀧本ゼミの他の分析記事でも今まで王道とされていた文一官僚ルートというのも、時代の流れに徐々に合わなくなっている現状が示されるなどもされていますね。

小倉:実際、経済学が政策に使われている例はかなりあります。

ゼミ生:というと?

小倉:例えば、アメリカやイギリスでは「ナッジ」を政策に取り入れる動きが広まっています。ナッジとは行動経済学の用語で、「人々が強制によってではなく自発的に望ましい行動を選択するよう促す仕掛け」という意味です。実際にナッジを用いて税徴収率がイギリスでは向上したりなどもしています[2]。

【9月15日オバマ大統領が公布した「行動科学の洞察をアメリカ国民に役に立つように利用する」と題する大統領令】[3]

ゼミ生:なるほど、事実として最近は経済学が政策に生かされることも多くなっているのですね。本日はありがとうございました。
瀧本ゼミでは8.0期新歓を予定しております。既定路線を歩いてきたあなた、漠然と進路を考えているあなた、この記事を読んで何かを感じたあなた、ぜひ新歓にお越しください.

出典

[1]2018年10月23日 ヤフーニュースhttps://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181023-00010001-binsider-soci
[2]キャス・サンスティーン (田総恵子訳)(2017). 『シンプルな政府 : “規制”をいかにデザインするか
』. 東京, NTT出版.
[3]画像出典:ホワイトハウスHP,https://obamawhitehouse.archives.gov/the-press-office/2015/09/15/executive-order-using-behavioral-science-insights-better-serve-american(最終閲覧2019年3月12日)

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