五月祭ゲストにインタビュー!ー歴代最年少副市長・毛塚幹人氏の意思決定と、これからのつくば市とはー

今回は今年度の五月祭企画に登壇していただくつくば市副市長・毛塚幹人氏にこれまでの意思決定のあり方やつくば市での取り組みについてインタビューを行いました!  

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つくば市史上最年少26歳の副市長・毛塚幹人氏にインタビューを行いました!


ゼミ生:毛塚さんは2017年3月に財務省を退職され現在はつくば市の副市長をなさっていますが、東大法学部を卒業して財務省に入るとその後もずっと勤められる人が多い印象を持っていました。毛塚副市長は4年ほどで辞められており失礼ながら少々変わった経歴とも言えると思いますが、これまでにキャリア形成に関してどのように意思決定をなさってきたのでしょうか?

毛塚副市長: 少々変わった経歴ですね(笑)。財務省時代と現在で立場は変わりつつも、大袈裟かも知れませんが時代を担うことを意識して将来世代に責任ある生き方をしたいと、古風な人生観では通底していたりします。財務省で国家財政の将来を見据えながら予算や税制を描くことも、ガタが来ている地方を一つの自治体経営からアップデートして他地域への波及を志向することも、アプローチの違いに過ぎません。あとは自分の好みと役割分担だけです。つくば市議会での就任挨拶で時代を進める仕事をすると表明したのですが、実は財務省に入るときに言った台詞と同じだったりします(笑)

ゼミ生:役割分担ということですが、なぜ毛塚さんはつくば市副市長という選択がご自身の役割と考えたのですか?

毛塚副市長:当然ですが一人では世の中は支えられませんので、同時代の中で自分の役割を俯瞰して考えて、できる人が少ないなら選び取るべきという判断をしました。私がつくば市の五十嵐市長に副市長として声をかけて頂いたのも学生時代に知り合っていたという偶然によるものです。自治体経営に携わるには中央省庁からの短期出向という選択肢もありますが、個人としてお声がけ頂いたからには腰を据えて取り組むことを決めました。ポジションを取って自分事として向き合わねば見えない世界もあると思っています。国と自治体のどちらで働くのが良いという話ではなく、国家の中枢に正攻法で臨む仲間がいるなら、フットワーク軽く動くことのできる自治体で誰かがゲリラ的に動くことも価値があります。

ゼミ生:入省前から辞めることを前提としていたという訳ではないんですね。

毛塚副市長:財務省に入省する時から辞めることを考えていた訳ではありませんが、瀧本先生の「武器としての交渉思考」でも紹介されている交渉事の基本、BATNA(Best Alternative to a Negotiated Agreement)をキャリアにおいて持つことは常に意識していました。この文脈でのBATNAは、職場外にも生きたネットワークや情報源を持ち、自分のスキルセットも整えておくことで、いつ辞めても別の仕事ができるコンディションを持っておくことと自分では理解しています。このことは仮に一つの職場に勤め続けるとしても、マインドセットとして有意義だと思っています。財務省で働くことは大変なこともたくさんありましたが、他の選択肢もある中で理念に共感して好きで選んでいるという一種の趣味、酔狂とすら言えるのだから中途半端な仕事はしないと決めて本気で臨んでいました。またBATNAを意識する分、組織の中で自由な働き方も模索することができたと思っています。最終的に退職を選びましたが、とても充実した日々でした。そうした仲間と互いの役割を意識し、今後もピアプレッシャー的な刺激を与えあいながら時代を築いて行ければ最高ですね。

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ゼミ生:そのピアプレッシャーというのはどのような意味合いなのでしょうか?

毛塚副市長:一般的には同質化に向けた集団内での圧力というようにネガティブな文脈で使われることが多い言葉だと思いますが、尖る方向への指向が強い環境だと一人では難しい決断にも踏み切りやすくなります。私は少々変わった経歴なので同じ分野だと真似したり競ったりする仲間はまだ見つけられていませんが、霞が関だけでなく起業家、アーティスト、アスリートなど異分野で活躍する友人に刺激を受けることが多いです。負けん気が強いのかもしれません(笑)

ゼミ生:毛塚さんはいつから自分のキャリアについてそのような役割分担やピアプレッシャーを意識されるようになったのでしょうか?

毛塚副市長:これまでの人生、結果的にずっと逆張りをしています笑。高校時代は理系でしたが研究者を志望する周囲の同級生との役割を考え研究成果を実社会に生かす行政官になることを思い立ち文転しました。当時の思いが間違いなくつくばという研究学園都市へのモチベーションに繋がっています。その後も、行政を志すにあたっては行政と両輪である政治の世界を垣間見ておこうと学生時代にインターンをしていた先が現在のつくば市長です。省庁を選ぶ際にも自治行政が最大の関心事であれば通常は総務省を選ぶのですが、同じ志を持つ総務省の仲間とは異なるアプローチを意識して財務省を選びました。逆張りの上に4年程のサイクルでころころと方針転換しているんですが、一定の人生観の下で自分の役割を考え、キャリアの仮決めと仮説検証、環境変化に伴う方向修正というプロセスを繰り返しているので自分としては一貫性を持っている感覚です。表面上は極端な変化をしていますが、中途半端に夢想していて思考停止に陥っているという状態は避けたいと思っています。

ゼミ生:副市長に着任されてからの一年間はいかがでしたか?

毛塚副市長:学生時代につくばで五十嵐市長を手伝っていた経験や霞が関での行政経験はありましたが、それでも多くの難しさを感じる一年間でした。多岐に渡る自治体業務のなかで副市長業務は判断と指揮の連続なので、常に背伸びして仕事をしながらキャッチアップして、身につけたら更にまた背伸びをするという繰り返しの日々です。何とか乗り切っているという感覚が正直なところです。

ゼミ生:市長との役割分担はどのように考えているのでしょうか?

毛塚副市長:世の中には様々なタイプの副市長がいると思いますが、市長との役割分担としてはつくば市の副市長は会社で言うところのCOO(最高執行責任者)と意識しています。つくば市役所の生え抜きであるもう一人の副市長の力を貸して頂きながら、それぞれの強みを生かしつつ市役所業務を執行しています。

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五月祭企画の詳細はこの記事の最後をチェック!

ゼミ生:一年目はどのような政策に取り組まれたのでしょうか?

毛塚副市長:スタートアップ推進からイノシシ対策まで幅広く取り組んでいますが、副市長は一期4年間なので一年目は特に政策推進のための環境作りに主眼を置いていました。その一つがRPA(Robotic Process Automation、ロボットによる業務自動化)の活用による業務の効率化です。民間企業で導入が進んでいるRPAは、パソコン上での定型作業の自動化に強いシステムです。行政として全国初の試みとして実証実験ベースで導入を行ったところ、対象業務の約8割を自動化することができました。民間では職員を削減する目的でも導入が進められているRPAですが、市役所ではリストラのためではなく組織における業務の比重を変えるために役立ちます。多くの新規事業を進めるためには市役所職員の企画力が鍵となりますが、日々の業務に追われる職員はなかなか新規事業を立案する時間が作れません。特に若手職員ほど市役所では手続き業務に忙殺されており、役職が上がってからいきなり新規事業の企画を担当しても難しいというのは当然のことです。そのような意味で、短期的な業務効率化の意義はもちろんですが、長期的に役所の能力を高める上でRPAにはポテンシャルを感じています。

ゼミ生:実証実験ではどのような業務の自動化に取り組まれたのですか?

毛塚副市長:RPAは税務処理を中心に実証実験を行いました。担当してくれた情報政策課の職員が税務経験者だったというのが決め手です。業務フローのモデルを組む必要があるのでその業務を理解している職員がRPAを使いこなすというのが一番です。ちなみに最近RPAについて他自治体から多くの視察要請を頂いていますが、こうした地方でのミクロな動きがいずれ財務省などの国のあり方にも反映されればと思っています。自治体として小規模にフットワーク軽く動けるからこそこうした先端技術の導入実験をすることができます。

ゼミ生:先端技術を行政で導入するのは難しいと思っていましたが、つくば市では何か工夫があるのでしょうか?

毛塚副市長:RPA導入の際は、民間でRPA導入の効果が出始めつつも行政では未導入という瞬間での官民のタイムラグを突いています。行政では少しでも予算を要する事業となると予算査定や議会での予算審議といったプロセスが発生します。タイムラグを突くことで、RPA導入は行政では初めての事例となるので民間としても無料で協力するインセンティブが生まれ、無償での実証実験の実現に至りました。実証実験では業務の8割削減という確固たる成果を出すことができましたので、今後導入分野を拡大して行ければと思っています。

ゼミ生:こういった先端技術の活用はつくば市らしい取り組みですね。瀧本ゼミも、新しいことにチャレンジしやすい自治体と連携して科学的な知見に基づいた政策の導入事例を少しずつ作っていくことを意識しています。

毛塚副市長:研究機関が集積するつくば市らしい取り組みですが、これまでのつくば市役所ではあまり科学の知見を生かすことができて来なかったようです。昨年度の市民意識調査での「科学のまちに恩恵を感じることがあるか」という質問項目では過半数が恩恵を感じないという回答でした。このような現状は研究学園都市であるつくば市の存在意義にも関わりますし、他都市との差別化という観点からも望ましい状況ではありません。つくば市はつくばエクスプレス開通以降、東京通勤も容易になり人口増加を続けていますが、単なるベッドタウンになってしまっては東京近郊圏での厳しい自治体間競争に晒されることになります。つくば市としての独自性を発揮する上でも、行政における科学的知見の活用は意義が大きく、今回テーマとなるEBPM(Evidence-Based Policy Making、証拠に基づく政策立案)への関心にも繋がっています。五月祭での議論を楽しみにしています。

ゼミ生:毛塚さん、本日は貴重なお話をありがとうございました。五月祭当日もゼミ生一同楽しみにしております。


瀧本ゼミ政策分析パート・日本政策創造基盤は五月祭において講演会を企画しました!

一昨年はNPO法人フローレンス代表理事・駒崎弘樹氏、昨年は現外務大臣の河野太郎氏をお招きした弊ゼミの企画ですが、今年は財務省官僚をご退官後、つくば市史上最年少で副市長に就任された毛塚幹人氏をお招きしました。今年の企画では、学生が講演会のまさにその場で副市長に政策案の提言を行い、つくば市での導入可能性について判断していただきました。当日のレポートはこちらから。

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必見!

 

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